公式覚えず、標準偏差を計算してみた!【品質管理検定(QC検定)3級対応】【高校数学ⅠもOK!】

2023年7月23日日曜日

QC検定 統計学 品質管理

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 最終更新日:2023年8月12日


どうも、おばんです。QCたかです。

「標準偏差」という言葉。

考え方は「平均」と似ているのですが、「平均」と比べ出会う機会が少なく、一市民権を得られていません。

それは、その言葉から「何か」を想像しにくいからだと思います。

また、求める計算式を見ると、何やら「苦手」な記号が多く出てきます。

これでは、余計に嫌われてしまいます。

「標準偏差」を身近な存在にしたい。

嫌いにならないでほしい。

グッと、距離を縮めるための努力をさせて頂こうと思います。

最後まで、見て行ってくださいね。


標準偏差は「平均値との差を平均したもの」

「標準偏差」について、堅苦しい数式、公式、説明は抜きにして一言で言えば、「平均値との差を平均したもの」です。

つまり、ただの「平均値」です。

カンタンでしょう?

もう少し説明しましょう。

「1」と「5」の数字を準備します。

「1」と「5」の平均は「(1+5)÷2=」ですね。
  1. 平均値「」に対し「1」はいくつ離れているか。
  2. 平均値「」に対し「5」はいくつ離れているか。
この二つのデータの平均を求めることで、平均値からの差の平均が求まりますね。

ただ実際は、そうカンタンにうまくいきません。

平均値の差を平均しても「0」にしかなりません。

確かめてみましょう。
  1. 平均値「」に対し「1」は?「1-=-2」
  2. 平均値「」に対し「5」は?「5-=+2」
  • (ー2)+(+2)÷2=0!?
このように「分子が必ず『0』になってしまう」ので、このまま平均はできないのです。


できないことをするのが「数学」のだいご味です。

要は「マイナスを何らかの方法で消す」ことを考えればよいのですね。

数学でマイナスを消す方法としては、
  • 2乗する
  • 絶対値にする
が一般的です。

統計学では「2乗する」が一般的ですので、ボクたちも「2乗」しましょう。
  1. (ー2)の2乗=4
  2. (+2)の2乗=4
  • 平均は(4+4)÷2=4
はい、これで平均することができました!


でも、平均4っておかしくないですか?

「1」も「5」も平均値「3」から「2」しか離れていないのに、「4」って。

おかしいに決まっています。
だってボクたちは「2乗」しましたから。

これって「今は2乗しっぱなし」の状態ってことです。

例えば、単位が「cm」だったとします。
「2乗」したわけですから、単位も当然「2乗」して「cm2(平方センチメートル)」ですね。
「cmで長さ」の話をしていたのに、突然「平方センチメートルで面積」の話に切り替えてしまったわけです。

「このクラスの平均身長からの差の平均っていくつ?」
「はい、テニスコート3面分です!」
「???」

とチンプンカンプンな話になっている状態です。

ですから、2乗した分を戻せばいい。

それには「ルート√」すればいいのですよね?
  • ルート√4=2
はい、これで「平均値の差の平均」が求まりました。

そして、これが「標準偏差」です。


最初、「平均値からの差」を求めました。

これを「偏差」と呼んでいます。

この「偏差」を「平均」したもの、それは「標準的な偏差」と言えるので、このことを「標準偏差」と呼ぶことにしたのですね。


標準偏差 Standard deviation
 分散の正の平方根。


である。
備考:確率変数Xの標準偏差をXの母標準偏差ということもある。(Z8101-1)

サンプルに対しては次式により求める。








求めた標準偏差の値の単位は、元の測定値と同じである。標準偏差は、データのばらつきの程度を示す埴土の一つである。

ークォリティマネジメント用語辞典(2004年発行 吉澤正 日本規格協会)より引用


公式を使わず標準偏差を計算する!

仕事をしていて「標準偏差」を手で計算することに出会うことはありません。
Excel関数でカンタンに求まるからです。

世の中で手で計算することが必要な場面は、
  • 品質管理検定(QC検定)3級
  • 高校数学Ⅰ
ぐらいだと思います。

つまり、試験勉強のためだけに、ややこしい公式を覚えなければなりません。

ボクはこの覚える作業がムダだと感じます。

だって、人生で公式を使うことは、ほぼありませんから。

ですから、皆さんにそんなムダな時間は使って欲しくないのです。
これから、公式を使わない計算方法を紹介しますので、ぜひ、体得して頂きたいですね。

品質管理検定(QC検定)3級において、標準偏差を求める計算問題は、かなりの高確率で出題されます。
受かりたかったら、公式など覚えず、これから説明するやり方を体で覚えていった方が近道です。

では、さっそくやってみましょう。

問題:
5つのデータがある。[5、9、3、11、8]
標準偏差を求めよ。

求める手順を下記します。
  1. チェックシートを作る
  2. 小さい順にデータをヨコに並べる
  3. ヨコ並びに「合計」「合計の2乗」欄を作り計算する
  4. タテに「2乗」欄を作り計算する
  5. 「2乗の合計」を計算する
  6. 3項ヨコ「合計の2乗」をデータ数で割る
  7. 4項タテ「2乗の合計」を引く(符号がマイナスになるが気にしない)
  8. データ数ー1で割る
  9. ルート√する
あれ?
9項目もあって、すごいタイヘンじゃん!?

と思わなくてよいです。
一つひとつ説明しますので、いかにカンタンであるか、ご理解いただけると思います。
なお、この計算は「電卓」を使用することを前提に説明します。
「電卓」が使えない方は手計算でお願いします。

1.チェックシートを作る

今回は、データが「5個」ですから、1~5まで、記入しましょう。


2.小さい順にデータを並べる

問題をよく確認し、小さい順に並べましょう。

3.ヨコ並びに「合計」「合計の2乗」欄を作り計算する

合計は、そのまま5個のデータを足していきます。
出た答えをチェックシートにメモし、表示を消さずそのまま
「×(掛ける)ボタン」→「=(イコール)ボタン」を押しましょう。
この処置で「2乗」が計算できます。

4.タテに「2乗」欄を作り計算する

各データを「2乗」してチェックシートに記入していきましょう。
先ほどと同様に、「×(掛ける)ボタン」→「=(イコール)ボタン」を押すことで素早く計算ができます。

5.「2乗の合計」を計算する

今計算した各データの「2乗」を合計しましょう。

6.3項ヨコ「合計の2乗」をデータ数で割る

右上の「合計の2乗(この問題だと『1296』の箇所)」をデータ数(この問題だと『5』)で割りましょう。

計算すると、1296÷5=259.2 ですね。

注意:電卓の計算結果を消してはいけません!

7.4項タテ「2乗の合計」を引く

先ほどの答えから、タテ「2乗の合計」を引きましょう。
このとき、符号がマイナス表示されますが、気にしないでください。

計算すると、259.2ー300=ー40.8 ですね。

注意:ここでも電卓の計算結果を消してはいけません!


8.データ数ー1で割る

ここは、前半の「平均値との差の平均」に相当します。

「平均」を取るのだから、データ数で割るのが正解なのですが、この品質管理検定(QC検定)や高校数学Ⅰのジャンルでは、無条件に「データ数ー1」で割ることを、受け入れて頂きたいと思います。
ここには、説明していない「母集団」や「標本」という概念が含まれており、「データ数ー1」のことを「自由度」と読んだりしますが、説明するにはこの記事では足りませんので、またの機会で説明させてください。

ということで、計算すると、ー40.8÷(5-1)=ー10.2 です。

注意:引き続き、ここでも電卓の計算結果を消してはいけません!

9.ルート√する

これが最後です。
求めた計算結果にそのまま「ルート√ボタン」を押すだけです。

そうしますと、3.1937・・・ となり、標準偏差が求まりました。

いかがだったでしょうか?

なお、電卓にエラーを示す「E」が表示されますが、気にしなくてよいです。
計算はちゃんとできていますから。

チェックシートを使って計算を分断

頭の良い方は、すでにお気づきだと思いますが、結局は公式の通りに計算をしただけです。
違いは、公式で計算する過程を、チェックシートを使用して見える化し、手順化したことです。
見える化、手順化したことで、公式は覚えなくても、答えまで導けることができました。

なぜ、このような提案をしているか、と言いますと、

「誰もが、計算が得意ではない」
「多くのヒトが品質管理検定(QC検定)を受けて合格してほしい」

と思うからです。

企業には、いろいろな経験、知識を持った方がいらっしゃいます。
もちろん、みんなが計算が得意ではない。
公式を見た途端、汗をかくヒトもいる。

そんなヒトたちでも、品質管理検定(QC検定)を受験し、合格をしてほしいと思っています。
高校生でも理系、文系と分かれているものの、この標準偏差のジャンルは数学Ⅰですから、全員共通で受ける授業です。

やはり、得意なコ、苦手なコがいるに決まっています。
苦手なコでも、「この方法ならボクにもできる」と思って頂けたら幸いです。

さぁ、みんなで標準偏差を計算しよう!
この手法は繰り返し計算し、体に覚えさせるやり方です。
問題は、自分が好きなデータを何個か集めるだけで、すぐできちゃいます。

経験を積んで、来たる本番に備えて頂けたらと思います。




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品質管理に関するブログ「QCたかのたか流QC」では、自身の経験を活かし、品質管理への疑問、新しい提案、QCスキルのテクニックなどを配信。 「みんながハッピ〜♫になる品質管理を!」をポリシーに活動中。 品質管理検定1級合格。 日本品質管理学会所属。 機械加工、設計を経て、現在は半導体業界のメーカーで品質管理に従事。

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