品質管理検定(QC検定)の勉強方法は「深く知ろうとしない」

2023年3月12日日曜日

QC検定 品質管理

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最終更新日:2024年1月7日


どうも、おばんです。QCたかです。

品質管理検定(QC検定)について、ボクの体験をお伝えします。
品質管理を勉強したいヒト、しているヒトは、見て行ってくださいね。


品質管理を勉強する機会

品質管理について学ぶ機会は、あまり多くないと思います。

少なくとも、義務教育や高校で学ぶことはありません。

大学や専門学校で、ひとつのカリキュラムとして学ぶチャンスはあるかもしれませんが、品質管理に特化した学部や学科はないと思います。
(例えば品質管理学部とか品質管理学科など)

そうすると、品質管理に初めて触れるチャンスというのは、企業に就職してからになるケースがほとんどだと思います。

企業によっては、新入社員教育や一般教育で品質管理を教えることもあるでしょう。
なので、「勉強」という機会は、ここが初めてになるかと思います。

ただ、これらの教育は、表面的な内容になると思います。

今まで、学んだことのない分野を始めて学ぶのですから、教える側としても、いきなり面倒くさい話はせず、より簡単に、よりやさしい表現で、品質管理の小難しい雰囲気を隠しながら、少しでも興味を持ってもらえるような教育になると思います。

実際にボクが行う新入社員教育もそうしています。

小難しい言葉、定義なんかは説明しません。
こういう仕事をしますよ、楽しそうでしょ?とやんわり、ふんわり、身近な事例を取り上げ(例えば、お菓子の製造とか、ラーメン屋とか)少しでも興味を持ってもらうように仕向けています。

なにより新入社員教育で重要なことは、社会のルールやモラルを改めて理解してもらうことだと思っていますので、そこは重点的に話をします。

コンビニの冷蔵庫に入ってSNSにアップしてはダメよ、とか、回転ずしのレーンのお皿をなめちゃダメよ、とか。

あとは、絶対ウソつかないでね!とかになります。

これらの話を後半に持ってきて、場をそれっぽく盛り上げて、最後にもっと勉強したい人は・・・

「品質管理検定(QC検定)」を受けよう!

と結んでいます。

このように、品質管理検定(QC検定)の存在を知らせることで、勉強する道筋を示しています。

裏を返せば、今まで勉強する機会がないので、誰も、どこでどう勉強すればよいのかわかっていません。

なので、この段階で道筋を紹介するのは「意義があることだろう」と考えています。
その後、実際に興味を持って受験してくれるヒトがいれば、紹介したかいがあった、というものです。

本格的はスタートは「品質管理」の部門に配属されたら、になると思います。

とは言え、「OJT(On-the-Job Training)」がほとんどではないでしょうか。

「OJT」とは、先輩から指導を受けながら、仕事を覚えていくスタイルの教育です。
一般的には、教育マニュアルがあり、マニュアルと平行して先輩の作業をマネしていきます。

マネをした作業を先輩に見てもらい、間違えている場合は指摘を受けるなどし、技量を向上させていきます。こういった教育は、品質を一定に保つことには欠かせないものです。

品質管理の教育についても、基礎的なところは、OJTで学べるとは思いますが、ボクの経験から、「品質管理はOJTでは学べない」と思っています。

OJT教育は、ものづくりそのものの作業、PCの繰り返し入力作業、レジ打ちなどのルーティン作業など、作業にあまり判断のいらない作業に有益なものだと思います。

しかし、品質管理については、そうはいかないものです。

単純な繰り返し作業は多くありません。要所要所で判断が必要な仕事が多くあります。
その判断は、自分自身や先輩の考え方でも変わりますし、データ、時代、社会情勢、経営状況、お客さんの考え方などでも簡単に変わります。

これらが複雑に絡み合う状態で、最適な処置方法を判断し、実施していく。
これこそが、品質管理に必要な能力であり、辛くても楽しい場面でもあります。

それでは、教科書なんていらないのではないか?なんのために勉強をするのか?と考えてしまいますが、それは違います。

やはり、品質管理のベースとなる考え方を理解していないと、誤った方向性、誤った分析をしかねません。

何事もそうですが、基礎があって応用があるのです。
ですから、基礎の部分を学べる「品質管理検定(QC検定)」を受験し、合格することは重要です。

何事もベースがないと、飛躍もできませんよね。

品質管理検定(QC検定)とは?

品質管理検定(QC検定)は、日本規格協会日本科学技術連盟が主催しています。

2005年から開催しており、最近は年1回(3月と9月)に開催され、2023年3月現在で、35回目になる歴史のある検定です。

この品質管理検定(QC検定)を認定している団体は、ボクが所属している日本品質管理学会であります。

QC検定センターが設置されているのは、日本規格協会ですから、詳しい情報は、日本規格協会のHPに記載してありますので、チェックしてみてください。

品質管理検定(QC検定)には、1~4級までランク分けされています。

各級で受験資格はありませんから、小学生がいきなり1級を受けるとかもありです。
ボクは、2級からスタートしました。
難易度は級の数字が小さい方に難しくなってきます。

つまり、1級が最高難易度であり、誰もが目指したくなるところです。

各級の対象と合格率を下の通りです。


品質管理部門のスタッフは1級を目指す、と思いがちですが、合格率は約10%しかありません。

スタッフ全員がコレに合格することは、少し現実的ではないと思います。
実際にボクの事例で言えば、自部門に100名程度いますが、ボクひとりしか合格者はいません。

次に品質管理検定(QC)の試験内容についてですが、大きく「手法」と「実践」に分かれています。

「手法」は、簡単に言うと計算問題です。
試験範囲は、下記の通り級が上がるにつれ、むちゃくちゃ広がっていきます。

  • データの取り方とまとめ方(サンプリング)
  • QC7つ道具
  • 新QC7つ道具
  • 管理図
  • 統計的手法(正規分布、二項分布、期待値と分散、中心極限定理など)
  • 工程能力指数
  • 検定と推定
  • 抜き取り検査
  • 相関分析
  • 回帰分析、重回帰分析
  • 実験計画法
  • 多変量解析法
  • 信頼性工学

「実践」は、簡単に言うと記述問題です。

試験範囲は下記です。
難しい言葉がどんどん増えていくが、そんなに爆発的に範囲が増えるわけではない、という印象です。

  • QC的ものの見方・考え方
  • 品質の概念
  • 管理の方法
  • 品質保証(新製品開発、プロセス保証)
  • 品質経営(方針管理、日常管理、小集団活動、マネジメントシステムなど)
  • 倫理・社会的責任

1級については、この「手法」と「実践」が一次試験となり、二次試験として「論述」が追加されます。

この「論述」は、与えられた課題に対し、A41枚で作文をしなければなりません。

これに合格した場合、1級合格と認定されます。

「論述」が合格できなかったが「手法」と「実践」の合格基準を満たしたヒトには準1級が合格となります。

なお、一次試験と二次試験は同日同時間で行われます。

品質管理検定(QC検定)は時間と自分との戦い

品質管理検定(QC検定)の試験時間は90分です。
1級だけにある「論述」は30分です。
実際は連続して「手法」「実践」「論述」を続けて受験しますから、実質1級は120分です。

120分は長いと思いますか?

はっきり言えば「短い」です!
あっという間です。
うっかりしていると、時間が足りない事態になってしまいます。

ボクは3回受験をして、ようやく1級に合格することができました。

自頭が悪いこともあって、過去一で勉強したかもしれません。

数回受験をしたことで、自分で不足している部分を把握できましたし、何といっても時間が足りない、ということがネックになっていました。

そこで、時間配分をしっかり意識し問題を解いていくスタイルを考え、ひたすらトレーニングをしました。

まず、難易度で言えば「実践」が簡単です。
ここを簡単に終わらせなければ、後に響きます。

ボクの設定は「20分以下」としていました。
ここの時間を短くすることがボクにとって重要でした。

なおかつ、この「実践」で満点を取ることも重要です。

先ほども言いましたが「手法」に比べ「実践」は簡単です。
「手法」でどんどん時間と点数が削られてしまいます。

だからこそ「実践」は、短時間で満点を取ることが求められるわけです。

満点なんか取れるの?

と思うヒトもいると思います。

実際は取れないと思います。
そして時間も「20分以下」は厳しいと思います。

ボクの場合、25分くらいはかかったと思います。
そして点数も9割ぐらいだったと思います。

ですが「20分以下で満点」をめざしていた結果、「25分で9割」を達成できたものと思います。
テストですから思い通りいきません。
時間ロスも答えを間違うことも想定に入れています。

だからこそ「20分以下で満点」を目指す必要があるのです。

これは、ボクが1級を受けたときの対策ですが、どの級でも考え方は一緒だと思います。
自信満々に「手法」をこなせるヒト以外は「実践」を短時間で満点、これにつきます。

次に「論述」についてですが、基本30分で設定されています。

30分でA4用紙1枚で書けますか?

ボクは書ける自信がありませんでした。
だから「40分以下」と設定していました。

「論述」は4問程度の質問がきます。
その質問の中から、自分が答えたい質問を選び、その質問のアンサーを書いていきます。

質問は「手法」と「実践」の2ジャンルから出題されます。

ですが「手法」の質問は「手法」を熟知していないと答えられない内容です。

「手法」の方が難しいのですから、「論述」の「手法」は最悪です。
ですから、自ずと「実践」を選ぶことになります。

「論述」の質問の回答として、ボクが準備していたものは下記です。

  • クレームの処置方法について
  • 工程変更について
  • コンプライアンスについて
  • 方針管理について
  • 初期流動管理について
  • 改善活動の支援について
  • 工程管理の見える化について
  • 購買先の管理について

実際のテストでは、「実践」の問題解決について質問があったので、迷わず選び、自分が携わった「購買先で発生した不適合の事例」について書きました。

  • どのような問題があったのか。
  • 何が原因だったのか。
  • どのように対策を行ったのか。
  • その対策をどのように標準化したのか。
  • 標準化した内容について、継続して実施されているのか。
  • この活動を行って、自分はどう考え、どう感じ、今後どう活かしていくのか。

この内容を「40分以下」で書いていくことになります。

初見で問題を見て、起承転結を考えて、文章をまとめ上げていくのは、はっきり言って不可能だと思います。

ボクの場合、過去問から出題傾向を探り、「この問題が来たら、こう答えよう」というトレーニングを何回も実施していました。

その基本方針を持っていないと、とってもじゃないと書けません。

何パターンも回答を準備し「40分以下」で書き上げるトレーニングをしていくことが重要です。

そして、問題選択で迷ってはいけません。
時間がありませんから、自分のイメージにあった問題を素早くチョイスし、鉛筆を動かさなければなりません。

そして、一回鉛筆を動かしたら、戻ってはいけません。

戻ったらもう「不合格」です。
時間が足りません。

「戻る」には「消しゴムで消して書き直す」も含まれます。
そんなことしている時間はありません。
書いている最中に「あ~!!方向性間違えてしまった!!」と思ったら、間違えた方向性で結論出した方がいいです。

そのためのトレーニングです。
何パターンも答えられるようにトレーニングをしておくと、急な方向転換も可能になります。

「手法」が難しいから、手法しかやらないヒトは受かりません。
この「論述」が受からないと1級は合格できないのですから、絶対に疎かにしてはいけません。

最後に「手法」です。
はっきり言えば、難しいです。範囲広すぎます。

残りの時間をすべてココに充てます。
「実践が20分以下」「論述が40分以下」ですから、

試験時間120分-実践20分-論述40分=手法60分

「手法は60分」を目指すことになります。

そして、「実践」「論述」で時間が余ったなら「手法」に充てることになりますが、おそらく余ることはないと思いますので、実質「60分以下の時間で手法」となると思います。

先ほども言った通り、範囲が広すぎます。
ただ、その中でも必ず出る問題は押さえておく必要があります。

必ず出るのは「実験計画法」「回帰分析」「新QC7つ道具」だと思っていてよいでしょう。
少なくても、これらの問題は回答できるように準備する必要があります。

そして、ボクが一番重要だと思うことは

「深く知ろうとしない」

です。

統計学を駆使した「手法」になります。

統計学をずっと勉強してきているので、大丈夫というヒトなら良いですが、それ以外のヒトにとっては、かなり闇深い学問になります。

知れば知るほど、わからなくなって、わからないことが楽しくなって、もっと知りたくなる・・・
ただ、これをやっていると勉強時間がいくらあってもありません。
キリがないです。

だから、一回割り切ってしまって「合格のための勉強」をやる方がよいです。

「いや、俺は深くまで知りたいんだ!」というヒトは、試験を受けない方がよいです。

合格したいヒトは、「合格のための勉強」をし、合格後に深く知っていくべきです。

合格するしない、は大きな差です。
合格すると、周りの目と期待が変わります。

その期待に応えるには、深くまで知る必要があります。
プレッシャーがないと、自身を甘やかしますから、さっさと合格し、合格した後に、好きな勉強を進めていきましょう。

実際、ボクもそうで、1級を受かってからも勉強は欠かさないようにしています。

もちろん、受験勉強のときと同じペースではやっていませんが、自分のペースで好きな勉強をやるようにしています。

「合格のための勉強」は過去問の繰り返しと分析

高校受験や大学受験において、重要なのか過去問だと思います。

品質管理検定(QC検定)も、もれなくそうだろう、と思います。

幸いなことに、第1回から現在にわたって、過去の問題はすべて販売されています。
ボクの場合も、過去の問題はすべて購入し「全問を繰り返し解く」ということを行いました。

過去問題集には、回答や解説がついていますから安心です。
わからなくても、解説を読んで理解していきましょう。

ですが、解説だけではよくわからない、という事態も発生します。
そうすれば、別の教科書を見たり、級を下げた過去問や解説書を見たりすると、理解が進んだりもします。

品質管理検定(QC検定)は、下位がわかっていることを前提に、解説が書かれています。

その解説の内容が理解できない場合は、やはり戻るしかありません。
行って、戻ってを繰り返していると、相当時間を使います。

そうなのです、この繰り返しをしているだけで相当な時間がかかってしまいます。

ボク以外の合格者がどれぐらい勉強していたのかは、わかりませんが、ボクの場合、最後の3回目受験のとき、過去2回受験してきた経験があるものの、半年間、寝る間も惜しんで勉強をしていました。

平日は、仕事が終わってから4、5時間。休日は12時間ぐらい。

仕事をしながら、これだけやれたのも、2回落ちた悔しさが結構あったと思います。
あとは1級が魅力的だった、が大きいでしょうか。
何より、家族から理解してもらえていたのが一番大きかったと思います。

休みの日は図書館にこもりっきりでしたから、幼い子供たちには寂しい思いをさせたかもしれません。

話が少しそれましたが、同じ勉強をするにも、やみくもに勉強していてはダメです。

過去問をやると同時に、出題の傾向も探っていった方がよいでしょう。

先ほども書きましたが「手法」と「論述」は、これをやらないと戦っていけません。

この問題は、ほぼ出題されているな、とかこの問題がきたら、このパターンとこのパターンを想定しておこう、とか考えているとよいです。



品質管理検定(QC検定)は趣味の延長で

品質管理検定(QC検定)は、国家資格でもなんでもありません。

「検定」なのですから、「趣味」の範囲と思ってよいでしょう。
「ご当地検定」とか「世界遺産検定」とかと大差ありません。

そして、受かったからといって、ものすごく給料が上がることもないでしょう。

ボクは1級を受かっても「資格手当」みたいなものはもらっていません。
(もらえる会社もあるかもしれませんが)

もらえるのは、

「あいつ、受かったんだって」「へ~、すごいじゃん」

こういった言葉はもらえます。
でもそれだけです。

ボクの場合は「1級合格」の肩書はもちろん欲しかったです。

そのために頑張ってきました。「1級合格」自身の効果もあるかもしれませんが、合格により、ほめてもらえたことがモチベーションになり、その結果、給料や役職に反映されているのかもしれません。

ただ、ここは、自分でコントロールできないところなので、よくわかりません。

自分自身のことで言えば「勉強した時間」「勉強したことで生まれた興味」「1級合格したことの周りからの期待」が大きな力になっていると思います。

この活動がなかったら、日本品質管理学会にも入っていませんし、ブログを書いたり、youtubeで動画を作ろうとも思わなかったと思います。

そういう意味で、自分のライフワークを見つけられた、素敵な出会いだったのだろうと思います。

もっと早く出会えていればよかったな、とも思いますが、それはもう仕方のないこと。

このような素敵な出会いを、皆様にも体験していただければ、最高と思います。
さぁ、品質管理検定(QC検定)受けましょう!!

オススメ書籍





愚直に過去の問題にひたすら向き合うことが、合格への最短ルートです。
各級でもっと過去の問題集もありますから、どんどん範囲を広げていきましょう。

決して、短時間で合格!なんてことはないから。

ぜひ、勉強を楽しんで!

自己紹介

自分の写真
品質管理に関するブログ「QCたかのたか流QC」では、自身の経験を活かし、品質管理への疑問、新しい提案、QCスキルのテクニックなどを配信。 「みんながハッピ〜♫になる品質管理を!」をポリシーに活動中。 品質管理検定1級合格。 日本品質管理学会所属。 機械加工、設計を経て、現在は半導体業界のメーカーで品質管理に従事。

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