層別という考え方。混沌としたデータから真実をつかみ取れ!

2023/05/21

QC7つ道具 品質管理

t f B! P L
最終更新日:2023年8月15日


どうも、おばんです。QCたかです。

病院にインフルエンザで駆け込むヒトたち。
老いも若きも、女も男も。
学生でしょうか?幼児も社会人もいそうです。

地域で流行しているのでしょうか。
その地域は限定されるのでしょうか。

ひとつのインフルエンザに、こうも色々な条件が重なると、真実が見えなくなります。

今回は、こんな話です。
最後まで見て行ってくださいね。


層別とは

QCたかは、男で身長は175cmです。地元の小、中、高校を卒業し、石川県の大学を卒業しました。
今は、地元の企業に勤めています。

このように、個人は、色々な要素が複雑に絡み合って存在しています。
レイヤー(層)と考えた方が分かりやすいでしょうか。

小学校というレイヤーにおいては、同じ小学校を卒業したヒトは大勢いるでしょうし、身長というレイヤーでは、ボクと同じ身長のヒトもかなりの人数がいるはずです。
男というレイヤーでいえば、人類の半数はボクと同じレイヤーです。

これら複数のレイヤーを重ね合わせたときに、生まれてくるのは、QCたかという個人です。

世の中の事象も、このように色々なレイヤーを重ね合わせて発生しています。

交通事故や、食料品に混入した異物。カラダの中に置き忘れた医療器具。

上げればキリがありませんが、例えば1件の交通事故から、各レイヤーをひとつづつ外していけば、真の原因が見えるかもしれません。

信号の色はどうだったのか、天気はどうだったのか。
何時だったのか、同乗者はいたのか。
運転者の年齢は?

どうやら、交通事故は、昼間と夜間を比べると昼間の方が多いようです。
車、ヒトの活動量が多いため、相対的に多いのでしょう。

交通事故の事故データから、昼間の事故が多いことがわかったので、その対策として、警察は昼間のパトロールに多くの時間を割くことになります。

層別というものは、このような考え方になります。
混沌と複雑に絡み合ったままでは、よく見えないことを、バラバラにしてあげて、真実を見えるようにする、ということです。

層別 stratification
母集団を幾つかの層に分割すること。
層は部分母集団の一種で、相互に共通部分をもたず、それぞれの層を合わせたものが母集団に一致する。
目的とする特性に関して、層内がより均一になるように層を設定する。
備考:層別を層化ともいう。
(Z8101-2)
ークォリティマネジメント用語辞典(2004年 吉澤正 日本規格協会)より引用


層別は、QC7つ道具のひとつと言われていますが、その扱いは少し雑です。
雑というのは、含むヒトと含まないヒトがいるからです。

QCたか的には、含めていません。
層別というものに「ツール(道具)」がありません。

あくまでも考え方です。
層別の表現は、他の7つ道具である「チェックシート」や「グラフ」などに依存します。

関連記事をご参照ください。


層別を見てみよう

グラフで見ると、より理解が深まると思います。

あるデータから身長の分布を書いてみました。


このグラフは層別前になります。
分布の中心は160cmぐらいです。
つまり平均身長は160cmです。

分布の裾野は広がっていて、上は、280cm!?下は40cm!??

このグラフに何か意味はあるでしょうか?
一般的な赤ちゃんより小さい身長、世界びっくり人間で出演するような巨人。

実は、このグラフには、3つのレイヤーを一緒にまとめています。
それでは、レイヤーを分割してみましょう。


いかがでしょうか。
先ほど示したグラフは「園児の身長(水色の線)」「高校生の身長(オレンジ色の線)」「NBA選手の身長(灰色の線)」のデータをひとつにして表現したものでした。

それぞれで層別をすると、先ほどのような意味不明な分布を示していません。

それぞれは、それぞれの範囲で分布をしています。
例えば「園児」であれば、平均身長は110cm、分布の上側は130cm、下側は90cmと、現実の印象と一致します。

先ほどの一般的な赤ちゃんより小さい40cmなんて数字になりませんね。

「園児」と「NBA選手」の身長差は100cmもあります。
このような大きい差を、ひとつにまとめて分析をしてしまうと、下側(園児)も上側(NBA選手)も含めたばらつきを考慮して計算をしてしまうので、このような意味不明な結果になってしまいます。

層別はチェックシート作りから始まる

「園児」「高校生」「NBA選手」のデータであると、把握できているからこそ、分布を分けて表現することができています。

単純に身長のデータを集めてきて、識別もしないでチェックシートを作っていたらどうでしょう。

上司「この分布おかしいから、層別してみて」

部下「はぁ。実は、どのデータがどこから取って、何のデータなのかもう判別できないのです」

上司「はぁ?このデータ取るのに予算いくら使ったと思ってんの!?」

部下「ひぇぇ~・・・」

このような事態は避けなければいけません。

「データを取り直す」という行為は、口言うほど簡単ではありません。

再測定で、まったく同じデータは取れませんし、時間、時期、測定器が過去とまったく同じ状態になることはありません。

そのことで、まったく別のデータになる可能性だってあります。

ですから、その一瞬一瞬が勝負であるわけです。

参考に今回使用したチェックシートをお見せします。


グラフ化するために「散布図」を使用することを最初から想定しています。

よって、タテに身長データが並ぶように配置しています。
ヨコには各要素(園児、高校生、NBA選手)を並べ、そのデータをそのまま参照するように「全体」という要素を入れておきました。
各要素は、階段状にしてデータを配置しています。
このようにすることで系統をしっかり分けることができます。

自分がどのようにグラフを作りたいのか、そのグラフはExcelでどのように作ればムダなく作れるのか、自身イメージにピッタリあうように、想像しながらチェックシートを作っていきましょう。

そのイメージにアジャストしたとき、最高に心地よい時間があなたを歓迎してくれますよ。

オススメ書籍



有名なシリーズ本のうちの1冊です。
品質管理従事者は必ず見る書籍ですね。

今回の層別とはつながらない、と思う方もいるかと思いますが、最適な層別には、適切なサンプリングが必要です。

サンプリングを制するものが層別を制するのですね。

避けられない1冊だからこそ、この手の教科書を一度見ておくことをオススメします。

自己紹介

自分の写真
品質管理に関するブログ「QCたかのたか流QC」では、自身の経験を活かし、品質管理への疑問、新しい提案、QCスキルのテクニックなどを配信。 「みんながハッピ〜♫になる品質管理を!」をポリシーに活動中。 品質管理検定1級合格。 日本品質管理学会所属。 機械加工、設計を経て、現在は半導体業界のメーカーで品質管理に従事。

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

ブログサイト

QCたかのたか流QC - にほんブログ村

人気ブログランキングでフォロー

ブログサークル
ブログにフォーカスしたコミュニティーサービス(SNS)。同じ趣味の仲間とつながろう!

このブログを検索

ブログ アーカイブ

スマートデバイスでご覧の方へ

これ以降はアドセンス広告を表示いたします。 記事や関連リンクなどはございません。

QooQ