新社会人がやるべき品質管理

2023年4月8日土曜日

品質管理

t f B! P L
最終更新日:2023年8月15日


どうも、おばんです。QCたかです。

春になると新社会人と共に教育係もウキウキしてきます。
教育に正解はないけど、1人でも多くの人に伝わってほしい。
そんなボクが鉄板にしている教育を紹介します。
新社会人が読んでもOK。
最後まで、見て行ってくださいね。


仕事は教えない。カラダとメンタルに教える。


品質管理の教育なんて、真面目にやっていたら、おもしろいことなんて何ひとつありません。
やれ、標準化だの、やれ、品質方針だの。
言葉ばっかりカッコつけているから、頭に入ってこないものばかり。
新社会人であれば、なおさらのこと。

教育に熱心な企業もあるでしょう。
座学、OJT、座学、OJT・・・と詰め込んで、即戦力になってもらわなければ!と企業側は思うでしょう。

新社会人にとってはどうでしょう?

慣れない環境で、慣れない単語。そして、偉そうなオヤジの睨み。
楽しいはずはありません。

そして、暖かい春の陽気。
眠気との戦いに必死のはず。

そんな雰囲気の中で、新社会人に意識を高めてもらうには「自分自身のカラダとメンタル訴えかける」教育をすることです。

仕事のことはわからないけど、自分のことはわかる。
わかるつもりでいる。
そのわかるつもりを、府に落としてあげる。

それだけで、新社会人の目の輝きが変わります。

しっかり寝よう!しっかり食べよう!

まずは、これを教えます。
寝ることと、ゴハンを食べること。
これが大事なことは、何となく知られています。

それでは、「なぜ」大事なのか。
この「なぜ」は普段から意識していないと、理解することができません。
ここの「なぜ」を説明してあげることが大切です。

仕事には「集中力」が大事です。
明日デートがある、とか、早くゲームしたい、と思って仕事をしていると「うっかりミス(ポカミス)」を起こしやすくなります。

簡単なミスであれば、リカバリーも効きますが、自身の安全に影響がでるようなミスは許されません。

そんなミスを発生させないためには「集中力」が必要です。

「集中力」は脳に蓄えられた糖分をエネルギーにして発揮されます。
ヒトは何かを判断するたびに、エネルギーを消費します。

この色の服にしよう、とか、今日はこの駅で降りよう、とか。
この判断をするたび、エネルギーを消費するわけです。

そして脳に蓄えられるエネルギーの総量は決まっています。
ですから、自身が蓄えられるエネルギーから、何かを判断するたびにエネルギーを消費していき、最終的に空っぽになると、思考停止がおきるわけですね。

これは、まさに自動車とガソリンの関係に似ています。
アクセルを踏むたびに、エネルギーを消費する。
ずっと踏んでいれば、ガス欠になって、自動車は止まる。

例えば、突然、友達に誘われてドライブに出かけたとしましょう。
突然だったので、ガソリンは3分の1ぐらいしかありませんでした。
途中でガソリンを入れることもできましたが、お金がなかったので、入れませんでした。
どうせすぐ戻ってくるだろう、と気楽にドライブに出かけました。

しかし、道に迷い、見慣れない山道に入り込んでしまいました。
市街地までは、まだ距離がありそうです。
ガソリンスタンドは市街地まで行かないとなさそうです。
そうこうしているうちに、ガソリンがなくなりそうな状況です。
ここで、自動車が止まったら、最悪です。
立往生で、助けが来るのを待つしかありません。

この現象を回避する方法は、二つでしょう。

  1. ガソリンを最初から満タンにしておく。
  2. 入れられるときにちゃんと入れておく。

上記はヒトにも当てはまります。
ヒトの場合、
1.に対応することは「睡眠」であり、
2.に対応することは「食事」になります。

ヒトは「睡眠」をとることで、エネルギーを回復することができます。
6.5~8時間程度、睡眠が取れれば、エネルギーは満タンになります。

そして、3回の食事で、血液の中にゆっくり糖分を供給してあげれば、エネルギーも都度回復していきます。

徹夜明けだと、頭が「ぼー」としていることがあると思います。
そのとき、自分が何を考えていたのか、何を発言したのか、さっぱりわからないときがあると思います。
それは、エネルギー切れを起こして、思考停止の状態になっている。
まさに危険な状態ですね。

腹ペコのときもそうだと思います。
腹が減りすぎて、そっちばっかりに意識がいって、まるで集中できない。
そして力も入らない。

これらの状態では、まともに仕事なんかできませんね。
だから、

「しっかり寝よう!しっかり食べよう!」

と教えてあげるのです。
これは、仕事を覚えるより重要なことだから、しっかり教えてあげましょう。

整理・整頓をしよう!

ボクたちは、出社してから、仕事を終え、家に帰るまでエネルギーを確保しておかなければいけません。
定時前にエネルギー切れになってはダメです。

そのためには、どうすればよいのでしょう?

先ほど、ヒトは何かを判断するたびに、エネルギーを消費すると言いました。
つまり、エネルギーを消費させない「エコドライブ」をしてあげればよいのです。

例えば、カッコイイ鉛筆とカワイイ鉛筆があったとします。

今日は、どの鉛筆にしようかな?と考えたらエネルギーを消費します。
午後からカッコイイ鉛筆にしよ。と考えてもエネルギーを消費します。
ってか、カッコイイ鉛筆ないんだけど!どこにしまったの!?とゴソゴソ探し出したりすると最悪です。
連続でエネルギーを消費します。

カッコイイ鉛筆しか持っていなかったら、そもそも判断が生まれず、エネルギーを消費しません。
さらに、定位置に1本だけ置いてあれば、これも同じくエネルギーを消費しません。

つまり、整理・整頓をして、「必要なものを」「必要なときに」「最低限の動作で」使用できる状態にしてあげれば、ムダなエネルギーを消費せずに済むわけです。

この「エコドライブ」は、あのスティーブ・ジョブズが実践していたことが有名ですね。
彼は、7日間まったく同じコーディネートの服を選んでいたとか。
彼のように、クリエイティブで、多くの判断が必要な仕事をする場合、不必要な場面で大事なエネルギーを使用していては、ビジネスに不利益をもたらす、との考えたからでしょう。

ただ、新社会人に対して「ビジネスがどうだ」とか「時間削減が大事だ」とかは、あまり使いたくありません。
そんな言葉でプレッシャーに感じてはかわいそうです。

仕事の話であることを表に出さず、プライベートの延長で、自身が意識できそうなところを話してあげると、彼らの心に刺さるので、やんわりと教えてあげましょう。


なお、整理・整頓は、「旧5S」の中の二つで、お互いのローマ字の頭文字「S」がふたつあるので、「2S」と呼ぶ場合もあります。
なお、「旧5S」については、下記ブログに紹介しています。


全集中を常駐させよう!

テレビコマーシャルで、素敵な俳優さんが笑顔でいると、つられてこちらも笑顔になります。
ですが、画面の下には、何かしら細かい文字が映っては消えています。
何を書いてあるのか、よくわからないものです。

QCたかは、性格が悪いので、そっちの文字ばっかり見てしまいます。

何かウソが書いてあるのでは?
不利な条件が書いてあるんじゃない?
これってあなたの感想なの?

とか。

俳優を見ている場合は、細かい文字が見えません。
細かい文字を見ている場合は、俳優が見えません。

しかし、目の前のテレビには、俳優も細かい文字も映っています。
見えているはず。視界に入っているはず。
なのに見えない。

この見えない理由は「脳が認識していないから」になります。
目の前に見えていたとしても「脳が重要でない」と判断したものは、情報と認識されない仕組みになっています。

これは、仕事をするうえで理解しておくべき重要なことです。

「ぼー」っとしていると、目の前に見えていても、脳が認識できていないので、結果的に見ていないと同じ意味になります。

これは、非常に危険なこと。
頭をぶつけたり、高所から落ちたりしたら、命を落とす可能性があります。
予期せぬ、不適合を発生させたり、品質管理に対してもよくありません。

だから、目の前の仕事ひとつひとつに集中して行うことが大切です。
そして、先ほども言ったように、集中して行う力を常に蓄えておくようにしなければなりません。
全集中を常駐させて、常駐させるために睡眠、食事が重要であると教えてあげましょう。

半年後の目標を立てよう!

日々をただ過ごすだけではもったいないですよね。
せっかく自分の大切な時間を企業のために使うのですから、リターンがないと、命を削る意味がありません。

当然、働いた分だけ給料が支払われるわけですから、それも大事なリターンです。

ですが、本当に大事なリターンは、「自分自身が成長すること」です。

企業で働く8時間を、いやいやとダラダラ過ごしては、大切な時間をドブに捨てているのと一緒です。
いやいやかもしれないけれど、その中で自分が成長できるように過ごせば、その時間は決してムダになりません。

そのために、半年先の目標を立てることを勧めましょう。

目標は、

「ボクは、〇〇になる(をやる)!」

と宣言するものがよいです。

〇〇は、何でもよいですよね。
例えば、整理・整頓ができるようになる!とか、毎日人をほめる!とか、海賊王になる!とか。

大事なことは、「宣言」です。
「宣言」をすることで、半年後の自分をリアルに想像することができます。

そして、半年後の自分に対し、現在のできていない自分とのギャップに不快感を覚えるようになります。
この不快感を解消させるには、目標の自分に近づいていくことしかありません。

このような心の動きが、自分自身を成長させるのです。

そして、半年後に、この半年間で自分は目標を達成できたのか、を振り返ることが最も大切です。
目標を達成できたなら、次の半年は、もう少しレベルを上げた目標を設定し、それにチャレンジをしていく。
目標を達成できなかったなら、なぜ、達成できなかったのを振り返り、問題点を解決できるような目標を設定し、また半年かけてチャレンジしていく。

この半年サイクルを続けていれば、新社会人だったときよりは、まったく自分になれる。
この成長を「喜び」として感じ、体験させてあげることこそ、一番大切な「教育」なのです。

実はこの考え方は、品質管理では一般的な「PDCAサイクル」と呼ぶものです。

PはPlan(計画)の「P」、
DはDo(実施)の「D」、
CはCheck(分析)の「C」、
AはActionの「A」です。
これら4つの頭文字を集めて「PDCA」と呼んでいます。

「PDCAサイクル」とは、組織を運営するための基本的な活動であり、下記のように考えます。

  • Plan(計画):計画、目標を立て、
  • Do(実施):計画、目標に対し、実際に行動し、
  • Check(分析):行動した結果、計画、目標通りにできたのか分析し、
  • Acton(改善):さらによくする方法、できなかったらその原因を改善し、
 Plan(計画):また、計画、目標に反映していく。

このPlan→Do→Check→Action→Plan→Do→・・・

と、繰り返し組織をレベルアップしていく活動を「PDCA」のサイクルを回す、
つまり「PDCAサイクルを回す」と表現します。

この「PDCAサイクル」は、組織運営の話であって、新社会人には関係のない話のように思われがちですが、自分自身の目標と置き換えてあげることで、より身近な題材として理解が進みます。

組織は、人間が作るものです。
企業は、法人ですから、疑似的な人間です。
そして、企業や組織を動かすのは、人間です。

組織や企業運営に使う手法は、人間を動かす手法そのものですね。
そして、個が強く成長すれば、組織や企業も強く成長することができます。

だからこそ、ボクたちも、あなたたちも、みんなで成長していきましょう、と伝えることが大切ですね。
そして、その発した言葉は、自分にも返ってきますから、教育を通じて自身が学ぶ、よいチャンスでもありますね。

モラル・マナーを順守しよう!

こんな基本的なこと?だからこそちゃんと伝える必要があります。

世間では、品質偽装、情報改ざんなど、人間による不正、不適合があふれています。
そして、若い世代でも、回転寿司のレーンに流れているお寿司を勝手に食べたり、お皿をなめたり、信じられない事件があとをたちません。

仕事を始め、少し慣れてくると、自身の特別な仕事を自慢したくなるものです。

「オレはこんなもの作ってるよ」とか
「ワタシ、○○企業と○○千万円の取引したよ」とか。

そして、そんなことをSNSを通じて、より多くの他人へアピールし、大量の「イイね!」が欲しくなるものです。
誰だって、「イイね!」を通じて承認欲求を得ようと必死なわけです。

脳の中で、人間の感情をつかさどるのは「偏桃体」という部分です。
古来からある部分で、多くの生物が持っています。

その「偏桃体」をコントロールするのは「前頭前野」です。
これは、人間固有のもので、人間らしさの象徴だと思います。

怒りにかまけて暴れる、ギャンブルが止められない、といった偏桃体由来の感情を、コントロールするのか「前頭前野」ですね。

この「前頭前野」が生み出した社会性こそ「モラル」や「マナー」であり、「モラル」や「マナー」を理解しあえるからこそ人間は、集団的な社会生活を実現したのですね。

「モラル・マナーを順守しよう!」とただ教えただけではダメです。

人間だからこそ、「モラル」や「マナー」を守れる生物なんだ、と人間としての存在価値に訴えかける話をしてあげることが、一番効果的なわけです。

そして、会社の情報をSNSにアップすることは、当然守秘義務違反であり、犯罪行為を気軽にアップしたら、逮捕されるんだよ、とトーンを落として伝えることで、ますます心に深く刺さります。

このように、緩急を織り交ぜて話をしてあげることで、楽しくも、最後は気の引き締まる教育の場となるわけです。

新社会人がやるべき品質管理

いかがだったでしょうか。
品質管理教育という言葉に惑わされる必要はありません。
何も、難しい言葉を並べることだけが、品質管理の教育ではないのです。

伝えたいことは、

「自分自身をちゃんとコントロールできるようになろう、その行動こそが、品質管理です」

というシンプルなことだけです。

そして、新社会人に対して、やってもらいたい品質管理も、シンプルなたった5つのことだけです。

  1. よく寝て、よく食べる。
  2. 整理・整頓をする。
  3. 目の前に集中する。
  4. 半年後の成長した自分を想像する。
  5. モラル・マナーを大切にする。
これだけのことでよいのです。

これだけのことだからこそ、教育者は、「熱っぽく」「楽しそうに」「場の雰囲気をあげる」努力をし、新社会人の気分を上げてください。

それができないと、新社会人の成長を遅らせてしまいます。

あなたが楽しくないと、誰も楽しくありません。
新社会人の成長は、一番最初の教育にかかっています。
ぜひ、楽しんでやっていきましょう。

オススメ書籍


DaiGoの本はいっぱいありますが、この本が一番の良書でしょう。
ボクはこの本をきっかけに人生変わった、と思います。
読みやすい本だから、新社会人にもおすすめです。

自己紹介

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品質管理に関するブログ「QCたかのたか流QC」では、自身の経験を活かし、品質管理への疑問、新しい提案、QCスキルのテクニックなどを配信。 「みんながハッピ〜♫になる品質管理を!」をポリシーに活動中。 品質管理検定1級合格。 日本品質管理学会所属。 機械加工、設計を経て、現在は半導体業界のメーカーで品質管理に従事。

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